捨てられないのは、絵じゃなく時間だった
親だけが覚えている『あの頃』の話
捨てられないのは、絵じゃなく時間だった
冷蔵庫に、
ずっと捨てられない紙があります。
丸なのか、顔なのか、
アンパンマンなのか、よく分からない絵です。
正直、上手ではないんですよね。
でも、なぜか捨てられない。
たぶんあれ、
紙じゃなくて「時間」なんだと思います。
冷蔵庫が、だんだん紙の壁になる
冷蔵庫に、
紙がどんどん増えていきます。
保育園から持ち帰った絵。
家で描いた落書き。
メモ帳の裏に描かれた、
謎のぐるぐる。
最初は、
「かわいいな〜」
くらいだったんです。
でも気づくと、
全然捨てられなくなっていました。
整理しようと思って、
一回ぜんぶ外すんですよね。
でも、最後また貼り直してる。
あれ?結局元通り。
何の絵か、親でも分からない
よく見ると、
本当に謎なんです。
丸が3つ。線が2本。
これは顔なのか。
生き物なのか。
天気図なのか。
親でも判別不能だったりします。
でも、妙に大事。
たぶん、
「上手だから残す」
ではないんですよね。
「これ、ママ!」と言われた日
ある日、その絵を描きながら、
「これ、ママ!」
って言われたことがありました。
え、うそでしょ。
これわたしなの?
って、思ったんですけど。
なんだかすごく嬉しくて。
たぶん本人は、
もう覚えていません。
どの紙だったかも、
何を描いたかも、
きっと忘れてる。
でもわたしは、
その日の空気をまだ覚えてます。
夕方だったこと。
テーブルの上に麦茶が置いてあったこと。
ちょっと眠そうだったこと。
ちいさな爪に
クレヨンが入り込んで、
なかなか落とせなかったこと。
絵そのものより、
「その頃」が残っているんですよね。
成長って、あとから気づく
子どもの成長って、
その最中はあまり気づけませんよね。
毎日見てるから。
でもある日突然、
「あれ、もうこの描き方しないんだ…」
って気づくんです。
丸だけだった顔に、
なぜか指が増えてたり、足が生えてたり。
色をちゃんと塗るようになってたり。
いつのまにか、
「赤ちゃんの絵」じゃなくなってる。
成長って、
通り過ぎる時には静かなんですね。
その場では、案外気づけない。
だからたまに、
冷蔵庫の絵を見て、
「ああ、この頃もう戻ってこないんだ」
って、急に寂しくなる時があります。
捨てられないのは、紙じゃない
だから、
捨てられないのかもしれません。
絵が大事というより、
その頃の小さい時間が、
紙に貼りついたままだから。
冷蔵庫に向かうたび、
親だけが知っている「その頃」が、
まだそこにいる気がするんです。
みなさんの家にも、
なぜか捨てられない紙、
ありませんか。
他の人から見たら普通の紙なのに、
自分だけは時間ごと覚えているもの。
もしあったら、
よかったら教えてください。



こ〜れは捨てられん😭!💦